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糖尿病と妊娠

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糖尿病の種類

糖尿病と妊娠

母体が糖尿病であったり、妊娠中に糖尿病になると、母子ともにさまざまな影響があります。妊娠する前には糖尿病の有無を検査し、必要ならば専門医の指導を受けた計画妊娠を行うべきでしょう。

1.妊娠糖尿病

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 妊娠糖尿病とは、妊娠中に初めて発見、または発症した糖代謝異常のことです。それまで健康であった女性が、妊娠をきっかけに糖代謝異常を指摘されるというもの。2010年の診断基準改定で、『妊娠時に診断された明らかな糖尿病』は除外されることになりました。
診断基準
 75g経口ブドウ糖負荷テストで次の1点以上を満たす場合に診断します。
空腹時血糖値≧ 92mg/dl
1時間値≧180mg/dl
2時間値≧153mg/dl
危険因子
 尿糖陽性、糖尿病の家族歴、肥満、過度の体重増加、巨大児出産の既往、加齢などがあります。
原因
 妊娠中期となり、胎盤が形成されると、血糖値を上昇させるホルモンが作られるため、インスリンが効きにくい状態となり、血糖値が上がりやすくなります。
母子への影響
 高血糖が続くと、母体は妊娠中毒症になりやすく、流産や早産の可能性が出てきます。また羊水過多症や感染症などを引き起こしやすくなります。
胎児には母体からの高血糖が移行し、巨大児が産まれやすくなり、通常の出産が困難な場合は、帝王切開が必要になることもあります。さらに将来2型糖尿病を発症する可能性が高くなります。

2.糖尿病合併妊娠
 糖尿病合併妊娠とは、糖尿病患者が妊娠することです。
妊娠初期の血糖コントロールが不良の場合、胎児の先天異常が高率になることが指摘されています。糖尿病は自覚症状がほとんどないため、妊娠可能年齢の女性で肥満や近親者に糖尿病の方がいる場合には、妊娠前に血糖検査を行うことをお勧めします。
計画妊娠
 胎児の先天異常と母体の糖尿病合併症の悪化を予防するため、妊娠前から、良好な血糖コントロールを保ち、網膜症や腎症のチェックを受けてから妊娠すること。

管理目標値・治療

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 妊娠中の血糖コントロールは、母体や胎児の合併症を予防するため、
厳格に行います。
  朝食前血糖値70~100㎎/dl
  食後2時間血糖値<120㎎/dl
  HbA1c(NGSP)<6.2%
を目標とします。
治療
 基本は食事療法です。理想的には
①母体と胎児がともに健全に妊娠を維持するのに必要なエネルギーを供給する
②食後の高血糖を起こさない
③空腹時に飢餓状態にしない
という3つの条件を満たす必要があります。
具体的には、標準体重から計算した、必要エネルギーに、妊娠週数により追加分を足し1日の摂取エネルギー量を決定します。管理栄養士と相談し、分割食(通常1日3回食べていた食事を、1回量を減らし、1日5~6回と回数を増やす)にすることで、上記目標値を目指します。
 薬物療法:食事療法を行っても、上記目標値が達成できない場合は、薬物療法の適応となります。
妊娠前、妊娠中、周産期、授乳期には、経口剤を用いることはできませんので、インスリン注射を行います。
出産後の注意点
 妊娠中にインスリン療法が必要となった方も、出産後は不要となる方が大多数です。しかし、妊娠糖尿病になった方は、その後2型糖尿病になりやすい傾向があります。体重の管理や、定期的な検査をお勧めします。